チケットの高額転売問題は本気の対策で解決できるはず

読売新聞一面にチケット転売問題が掲載される

今日の読売新聞朝刊に

「チケット高値転売、公式サイト新設で歯止めへ 」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170401-00050164-yom-bus_allという記事が掲載されていました。

チケット転売問題に関して一般紙の一面で取り上げられるなんて初めてではないでしょうか。

チケット流通について研究している人間としては興味深く読んでみました。

記事の内容を簡単にいうと

『社会問題になっているチケットの高額転売への対策として「公式転売サイト」を新設する』というものでした。

まぁ転売対策としてのまず一歩って感じで一面で扱うほどの内容ではないかなと正直思いました。

まだまだ課題もあるようですしね。

社会問題化するきっかけとなった「転売NO」の意見広告

チケットの高額転売問題って昔からあったのですが、最近になって社会問題化して大きく取り扱われるようになりました。

そのきっかけとなったのが2016年8月に一般紙に掲載された「転売NO」の意見広告でした。

たくさんのアーティストの名前とともに訴えている

「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」

というメッセージは強烈なインパクトがあり、

その後TVのニュース等でも取り上げられ広く知られるようになりました。

賛同アーティストを見ると積極的に転売対策を行っているアーティストもいれば、

全く転売対策してないんじゃないの?っていうバンドまで様々でしたが・・

自前で転売対策を行っているのでAKBグループは加わっていないと

「ワイドナショー」で指原さんは語っていました。

チケット転売対策は簡単だけどできない理由

チケットの転売対策って机上で考えるととっても簡単なんですよね。

それは「チケットを買った本人しか入場できなくする」だけでいいんです。

良い席だと高く売れる、売ることが簡単にできるから転売されてしまうんです。

売ることができなければ本人が行くしかないんですから。

一昔前なら「そんなのできないよ」と言われそうですが、今やシステム的にはできる時代なんです。

最近で言えば、

「ミスチルの2015年2マンライブツアーにおける顔認証システム導入」

「浜田省吾さんの2015年ホールツアーでの受付窓口を一本化しての対策」

「山下達郎さんの2017年ツアーにおける本人確認の厳格化」

(いずれも最下記関連ページをご参照ください)

などの積極的に対策が取られた公演では転売することはほぼ不可能なので、

転売は全く行われていませんでした。

仮に出品され、売買が成立したとしても転売チケットでは入場することはできない

でしょうから大きなトラブルとなります。

そんな危なっかしいチケットは買わないですよね。

本気で取り組めば転売ができないシステムはもうできつつあるのです。

ただし転売対策ができないのには2つの理由が考えられます。

1つはそのシステムを導入するのに費用がかかる点

もう1つはチケットの需要が確実に減り、チケットが売れなくなってしまう可能性がある点

この2点があるため安易に転売対策を強化できないのではないでしょうか。

理解できない手数料より転売対策費負担の方がよほどましでは

でも1つ目の費用に関する問題は解決策があります。

それはチケット購入者に「転売対策費」を明らかにして負担してもらうのです

現在チケットはチケットの定価だけでは買えなくなっています。

チケットを買おうと思えば有無を言わさず、各種手数料が上乗せされ、同意しなければ買えない時代です。

20~30年位前まではだいたいLPやCDと同じくらいの金額のチケット代だけでチケットは買えたものです。

それが今ではCDの2~5倍くらいのチケット代+手数料が当たり前となっています。

例をあげましょう。

日本人アーティストではありませんが、ポール・マッカートニーの4月東京ドーム公演についてです。

もともとS席は18,000円。

ちょっと高いですが、過去の公演もこの金額でしたしこれは問題ありません。

ただし、ぴあの「最速先行抽選」でチケットが取れた場合、チケット代にプラスして

システム利用料 216円(1枚につき)

発券手数料    108円(1枚につき)

特別販売利用料 750円(1枚につき)

決済手数料 216円(1申込みで)

が必要となるのです。

1枚での申込みだと1290円よけいにかかるんですよ!

チケットを売るのが仕事のプレイガイドからチケットを買うのに特別販売利用料って何なんだ?って思いませんか?

まぁポールを見に行こうという人は経済的に余裕がある年代の人が多いから目くじらはたてないでしょうが・・・

こういった購入者から見ると納得のいかない手数料を安易に負担させるのは問題だと思うんですよね。

でも転売対策を強化するために「転売対策費」を求められるのなら私は理解します。

それによってチケットが取りやすくなるんですから。

また一般にも手数料負担には慣れさせられているので、すんなり受け入れられそうな気がします。

アーティストがファンを選ぶ時代に

2020年東京オリンピックに向けてますます「モノ消費」から「コト消費」へ消費行動の変化は加速していくでしょう。

そしてライブ動員数も年々増えていくのは確実です。

圧倒的に需要が供給を上回っていきます。

そうするとこれからはファンがアーティストを選ぶのではなく、

アーティスト(運営側)がファンを選ぶ時代になるでしょう。

「転売するような人はチケット買わなくていいですよ」

「チケットを買うにはいくつかハードルがあるけれど、それを乗り越えた人だけライブに参加できますよ」

っていう時代がきっときます。

ライブを楽しみたい人だけがチケットを買えるようになるためなら、

転売対策が厳しくなる方がファンにとっては朗報と言えるのではないでしょうか。

(幻の2014年国立競技場公演のチケット 端だけどアリーナの1列目だったんですよ・・・)

 

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